世界終末前夜

有野


 
 夜、テレビ点ける代わりに耳奥の
  死の小破片掻き出している
 
 さよならはなんか違うし手を振って
  世界終末前夜なんだし
 
 ポリゴンで出来てる夜も言葉たち
  一等星の灯(ひ)を追い越して
 
 誰一人さえ抱きしめてくれなくて
  背負い鞄で首吊る人形
 
 その雪を踏み汚しつつ
 「綺麗だね、雪」って言いあう恋人たちよ

 夕方に空に飛び降りゆく鳥に
  来世があればいちばんぼしで 


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