冬

藤井紅碧



冬には何があるでしょう
もちろん寒さがあるでしょう

夕日が映える裸の木々と
澄んだ空気があるでしょう

わずかに灯る火の声を
守る命もあるはずで

何かが変わるわけではなく
浮いた感じの心持ち
そんな一日もあるでしょう

冬には不思議が舞っている
まるであなたを呼び込むように
そんなことが起きればいいが
冬は冷たく歩いている

冬は僕らが思ったほどに
寒くはないと感じてみる
そうして昔を思ってみると
楽しいのかもと思えてくる

冬
それでも冬の寒さに
心が凍える日々もあり
考え込む日もあるでしょう

冬には何がないのでしょう
考えたって仕方がないが
昨日の冬はないでしょう


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