空きコマに

藤井紅碧



シロツメクサが群生するキャンパスの一角で
烏が一匹
散歩していた
飛んでいった
蝶々が目に入る
庭を漂って見えなくなった
日差しが弱くなって
庭は薄くなった
雀が飛び降りる
庭が明るくなった
うねるガラスに汚れた真っ白の円柱
それを挟む奇形の天井とコンクリートの床
庭の彼らは生きている
生きることが生きること
奇形の建物にいる僕も生きている
生きることが生きることでは無い
奇形への欲求が生きること
シロツメクサが群生するキャンパスの一角で
人間が一人
暇していた
去っていった


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