神様の在り処

櫻田琥雪



Googleの検索窓に聞いてみる神ってどこにいるのでしょうか


お母さん神ってどこにいるのかな さあね、知らない、インドとかかな


押し入れの奥へひとりで旅に出る教科書に答えがあると思い


数学も国語も歴史も地図帳も知らん顔して縛られていた


ねえ父さん神ってどこに住んでるか知っているなら教えてほしい


どこだろう母さん聞いたことあるか神ってどこに え、あ、そう、インド


図書館のどんな本を読んでみても神の居場所は誰も知らない


右端の書架の一番下にある『こころ』が神だと司書は言った


一組の誰に聞いても「わからない」ある子は言った「いないと思う」


大好きなあの子が言った天国には神様とかいそうだよねと


まっすぐに伸ばした指が水面について一秒夏を感じる


プールから顔を覗かせ僕を見て微笑む君がまさか神かな


七月の帰り道で会うおじさんいつもネクタイが真っ黒なんだ


おじさんは僕に話した神様は君が一番好きなあの子だ


夕焼けが目に突き刺さり玄関のドアが開かない三階の角


ポケットの奥に眠った鍵をさすこの鍵たぶん部室のだなあ


二十代らしき鍵屋の手先にも工具箱にも神は宿って


母さんに叱られる居間明日朝鬼の顔した顧問担任


朝七時職員室に滑り込むこのまま土下座すればいいかな


昨晩の母さんよりは怖くない事務員さんと僕の裁判


早起きの代償として三限の現代文は仮病を使う


なんでかなこの学校の屋上は誰でも行けて誰も行かない


この場所の空は広くて僕なんて雲に乗っても気づかれないね


Googleにまた聞いてみる 神様はどんな姿をしていますか、と


キリストもアトムも新興宗教も神はジンジャークッキーのよう


顔があり手足がついて立っている そうか世界は平等だった


大好きなあの子のように飛び込みを僕は人間だけど神様








「若者は衝動性が高いから」視界が眩みオン・ユア・マーク














                      神様よどうか許して神様に会うために今ここを飛び立つ




















水飛沫浴びておやすみ十二時のチャイムが僕のスタートライン



さわらび131へ戻る
さわらびへ戻る
戻る