パラノイア

内藤紗彩






終焉はいつも突然訪れる



禍々しくも美しいそれは

軽快な音を響かせドアを叩く



聞こえない

聴こえない



眼を瞑り

耳を塞ぎ

息を止める



あぁ

いっそこの胸の鼓動まで奪ってはくれまいか



渇いた声が私を探す

私は何も応えない



恐怖

静寂

安堵



そっと目を開き

顔を上げて

息をついた



長い腕が私を包む

それは優しく囁いた



「居留守ですか?」



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