短歌

雨宮碧






炊飯器 優しい味が炊けていた

          裏で誰かが頑張っている





チョコアイス バニラも良いなと迷ってる

          僕らはきっと死ぬまで子供





不器用に蜜柑を剥いてくれる手と

          こんな一瞬 一生探す



















































 水

 雨宮碧



雨上がり 夜空を映す水たまり

          ビニール傘で掬うオリオン





人の波 海は見えないこの場所で

          おんなじように 桜は目覚めた





千代紙で鶴をたくさん折りました

          残りは全部川に流します



















































 頑張る人

 雨宮碧





午前二時 あなたの瞼が落ちたなら

          残りは月が引き受けてくれる





言い訳の言い訳探して俯いて

          優しく揺れる 床の落書き





泣きながら それでも君は飛び込んだ

          向かう背中に翼が見えたよ



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