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「今日はあなたの誕生日」
そう言い、あの子が贈り物をくれた。

初めてもらった誕生日プレゼント。
 戸惑いつつも、慎重に中身を取り出す。

「地味なあなたには赤色がよく映える」
そう言い、あの子はにっこり微笑んだ。


「あなたは注目されるべきよ」
あの子の言葉に促され。
みんなより、少し高い場所へと足を踏み出す。

すると。

家族が、先生が、クラスメイトが。
今まで私に無関心だった人達が。
一斉に私へと目を向けた。

驚いてあの子を見る。
「ほら、私の言った通り」
あの子はいつものように微笑む。


「みんな、あなたを待っていたのよ」
 私の両手が握るのは、あの子のくれた赤色。

「ずっと、この日を望んでいたの」
それを身につけ。

「さ、勇気を出して」
あの子の言葉に押されるままに。

私は、飛び出す。


「なんてきれい」
 宙に静かに浮く、私。
「やっぱり、赤色がよく似合う」



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