次は姫路
イ円ライター 

 ゆらゆらと揺れるひとりじゃ立てなくて私鉄は走る次は姫路

 「一緒だよ」駆け出すあなた待つわたしそうだね同じ駅にいたよね

 だたんたたんかんくぁん音に包まれてむき出しの心に響くひびく

 時刻表ペンでなぞった二桁は赤色にしてた一つ隣に

 吐瀉物は男女平等逃げ込んだトイレでわたしも吐き出したいよ

 ドア傍でボタン押します吊革も席もないなら居場所を寄越せ

 彼彼女夫婦カップルくそくらえ他のお客様に迷惑でしたね

 ブライダル広告を見て浮かべてた私が浮かんでわたしは沈む

 流れてく車窓に映った雄(おす)雌(めす)は駅に立ち尽くす君を見ておらず

 ぐらぐらと揺れるふたりで立っていてわたしも走ろう次は姫路






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